NHKの大河ドラマはどうにも私的にはイケてないここ10年が続いています。

去年の黒田官兵衛も途中で投げ出す不出来でした・・・。脚本家がダメという感じですね。本だとそれなりに面白いのですが1年間は確かに長い。

今年は新しい角度から見た明治維新の群像ということで今のところ興味深く見ているところです。

私は司馬遼太郎氏の大ファンでして、引退したら真っ先に司馬遼太郎記念館や本の舞台となった日本各地を歩いてみたい夢があります。

司馬さんの本の良さは、何度でも繰り返して読める独特の世界観と奥行きの広さという点かもしれません。 転居して、持っていた本のほとんどを捨てましたが司馬遼太郎氏の本だけは愛読が続いています。

NHKの影響もあって「世に棲む日々」を改めて完読・・・。読んでみてまたまた茫然自失の思いありというところでした。

前半は、吉田松陰を書き連ねますが後半は高杉晋作の独り舞台という本ですね。

司馬さんは、戦前の教育で戦争を美化するために国粋主義の原点として利用された吉田松陰を嫌っていたそうです。

この本の中では吉田松陰を純粋なる思想家としてとらえ、弟子の高杉晋作は現実主義を貫いた革命家として定義しています。

司馬さんは坂本竜馬や高杉晋作に対しては無条件に近い愛情を感じていたみたいですね・・・。高杉晋作を描くそのペンの走りが実に疾走感があって素晴らしいですから。

吉田松陰の教育者としての面目は、弟子に対して否定的な話を一切しなかったことのようです。 その人その人の個性を見ぬいて「良い点」を見出すことってなかなか出来ないことですから。

良いところをほめて育てるというのは言葉では容易ですが、難しいことです。貶すことの方が楽だし、9割以上がマイナス面に目を向き易いもののように思います。

吉田松陰は29歳と二か月という短い生涯を安政の大獄で散らしましたが・・・高杉晋作はもっと短く27歳と7か月の若さで結核に倒れています。

彼らの倍以上を生きてしまった私には、この本を読んで茫然自失に陥ることしかできませんでした・・・。 神が役割を与えて、果たした後に直ちに天に召した観があります。

本の評点は95点で星は★★★★★ お勧めする本の一つです。