楡周平作品と云えば「Cの福音」とか「クラッシュ」などの割とハードな小説というイメージがありますが… 経済をテーマにした小説に新境地を開いています。

前作「プラチナタウン」の続編が「和僑」という小説です。

割と簡単に読める本なのでビジネスマンに限らず、どんな方にも読みやすい本でないかと思いますね。

少子高齢化、限界集落問題、切り捨てられる地方問題、独身男女の高齢化、農業後継の困難さと農協問題・・・今では日本のどこにでもある大問題の解決に向けての切り口が描かれています。

国内がダメなら海外に活路を求めたいというのはどこの自治体でも考えていることですが、実際は簡単ではありません。

読める小説にするための苦心は理解しますが、全体が軽すぎて重みがないのが難点かな。

事業を起こすことの重さと継続することの難しさというものは、実際にそれを体験した者にしか表現できないからかもしれません。

それでも随所にハッとするようなフレーズがあって、現役の事業家の端くれとしても改めて勉強になる一冊ではありました。

曰く「成功する自信があるのならば、自分がリスクを取ってやってみたらいい。その気持ちにならなければ成功などない」

そして「5年後や10年後のリスクを判っていて対処しない経営者(または自治体幹部)なんぞはいない方がいい」。とかですね。

私も人材ビジネスに携っていて、最大の課題はライフサイクルに合わせたマネジメントが出来るかどうか? という一点にあります。

自分が還暦を過ぎたからと云って、将来の展望に目をつぶっていては「老害」以外の何物でもありません。

「老害」にならぬように、改めて事業というもののあり方を見つめ直すということをこの本で再発見させられたように思います。

人は、年齢を経て年寄りになるのではなく・・・精神が老いてしまって老人になるのだということでしょうか。

還暦を過ぎた経営者に読んでほしい一冊かもしれません・・・。